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あやしい食虫植物園
初稿[2008/05/20]
改訂[200*/**/**]

ハエトリグサ(Dionaea muscipula)栽培への道


♪ c.ハエトリグサの品種 ♪


何度も書くようですが、ハエトリグサ(Dionaea muscipula)は1属1種の植物でありますので、 巷間出回っている数々のタイプはすべて品種であります。

しかし、中には品種と呼べないほど特徴の形質が定まっていないモノも多く、 ただ単に作出(選別)したナーセリーが勝手に品種名を付けているだけで特に際だった特徴もないとか、 同一形質でもナーセリー毎に呼び方が違うとか、混乱の極みに有るとも言えます。

そこで管理人の栽培経験のある品種を中心に品種系統毎の特徴を解説してみたいと思います。

もちろん管理人の知らない品種もありますが、 ここに書いてない特徴は、栽培状況に大きく左右されるとか、どこに違いがあるか言って見ろ! 責任者出て来い!と言うたぐいと思ってもあながち間違いじゃないと思います。



 特徴(1) 草姿

ロゼット型

エレクタ型


「ハエトリグサの生涯」の章でハエトリは季節毎に違ったタイプの葉を出すことを解説しました。
復習すると、
   春葉:葉柄が短く、地上面を這うような感じで広がる
   夏葉:葉柄が長く伸び、立ち上がるような感じになる
   秋葉:葉柄がやや短く春葉と夏葉の中間型

春葉の様な草姿を年中保つタイプと早くから夏葉のような草姿なるタイプが育種選別され、 各々を ロゼット型エレクタ型 と呼び区分しています。

日本の食虫植物栽培の黎明期に名人鈴木吉五郎氏(故人)が夏でも立ち上がらないタイプを選別し、 その見事さを広めたため現在でもマニアは ロゼット型 を好む傾向がありますが、まだまだ安定した形質ではなく、どちらかと言えば エレクタ型 の方が遺伝的に安定していると思います。

個人的な感想としては エレクタ型 より ロゼット型 の方が気難しく、栽培に苦労するようです。

鈴木氏の選別したハエトリは「鈴木系」と呼ばれ今でも珍重されています。その他の ロゼット型 系統としては兵庫の内藤先生の選別した「内藤系」が知られています。



 特徴(2) 葉の色

標準種の色


赤系


花茎の色の違い


Hot Lip(?)



ハエトリグサの標準種は葉全体が緑色で捕虫葉の内側が赤い色をしています。
この赤色はアントシアニンによるものでモミジなどと同様に秋により美しい発色を示します。

1990年代初頭に植物体全体が赤いハエトリグサとして Royal Red が発表されたのは衝撃的でした。
その後、幾つもの赤系のハエトリが発表されましたが、 全て無菌培養の過程から偶発的に作出されたモノで、 自生地に赤系のハエトリが繁茂していることはないのであります。

主な赤系の品種は
 ・ Royal Red商業ベースに乗った初めての赤系ハエトリ
 ・ Akai Ryuアメリカで作出されたのになぜか日本語の名前
 ・ Pink Venus私は苦手。すぐ枯らしてしまう
 ・ Kyoto red京都で作出された。色・形共に優良品種
 ・ Red Piranha後述の Shark's teeth の赤番

この中では Akai Ryu が最も栽培しやすいと思います。
赤系の系統種(出自がハッキリしている)は通販等でもあまり販売されておらず、 マニアの集会等で入手するのが最も手っ取り早いと思われます。

また、管理人は栽培したことがありませんが、赤い色素の発色が全くない All Green という品種もあります。
さらに All Green より、緑の薄い yellow という品種もあるそうですが、栽培環境に左右され何となく緑が薄いかな程度の差だそうです。

また品種名は忘れましたが 捕虫葉の外側に口紅を塗ったような配色のハエトリが集会に持ち込まれました。
Hot Lip(?)とでも言うのでしょうか?
この形質が安定しているなら魅力的です。正確な品種名が判る方お教え下さい




 特徴(3) 棘の形

標準種の棘

Shark's teeth

Bristle teeth


捕虫葉の棘の形状変化もハエトリグサの品種の重要な特徴で、 遺伝的に安定しているモノもあり、色々なパターンがあります。

a.捕虫葉の棘が短く、三角になっているもの
 ・Dentate
 ・Shark's teeth
 ・Red Piranha

作出したナーセリーが異なるだけで Shark's teethDentate は同じ特徴を持つ品種と考えて良いかと思います。
「歯状突起」を意味する Dentate が一番初めに発表されたと記憶していますが、日本ではその語感からか Shark's teeth 「サメの歯」の方の呼び方が人気があります。
Red Piranha は赤系のハエトリと Dentate の交配選別より作出された品種でとても魅力的な品種なのですが、管理人は苦手。
すぐ枯れてしまう。再挑戦計画中です。

さらに最近「密生する, 林立する歯」を意味する Bristle teeth は棘がもっと細かく短いノコギリと言うかハケというか、 捕虫機構としては全く役に立たないのではと思わせる品種が作出されています。
自然では淘汰されてしまうでしょうから 園芸品種としてしか存在し得ないタイプです。

b.捕虫葉の棘が細く、長くなっているもの
 ・Crested Petioles
 ・Cross Teeth

前記のタイプとは真逆に棘が細く、長くなっているハエトリも作出されています。
管理人は入手したことがないので、とても欲しいです。




 特徴(4) その他

RED LONG FINGER

Cup Trap



上記の3つの特徴に当てはまらないモノを2つ示します。
RED LONG FINGER
捕虫部が縮こまってちょうど手のひらを軽く丸めたような感じがし、 捕中葉の棘が不規則な方向に向いているハエトリグサです。
名前からして赤系の品種かと思いましたが、早春と晩秋にやや柄まで赤味が指す程度で、 普通種よりやや赤っぽいかなと言う程度です。
写真は春の姿でロゼット型をしていますが、良く捕虫葉が伸びるエレクタ系の品種です。

Cup trap
捕虫葉の先端部に切れ込みが無く、スコップの様になったハエトリグサです。
年間10万鉢ぐらい生産しているハエトリグサの農園に人に聞くと年に2〜3個は見つかるそうで、 今までは不調品として捨てていたそうです。
復刊された『原色食虫植物』(近藤)には品種名「巾着」と書いてありましたが、 このネーミングセンスは・・・・・





 番外

Double head@

Double headA



番外編です。
極まれにこのように一つの葉柄に2つの捕虫葉がつく場合があります。
Double head などと名付けて品種化出きれば画期的なのですが、残念ながらこのような変異は遺伝せず、 芽出し時期に傷が付いたなどの後天的な理由により出現した形体のようです。

写真上は完全な双頭個体。(写真提供:大阪屋さま)

写真下は半接合の個体。(写真提供:雪さま)






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